2012年6月24日日曜日

アパレルCADの導入について どのくらい費用がかかるのか



「アパレルCADの導入には、総額で500万円かかる」
と聞いたので、調べてみることにします。


▼アパレルCADの導入
http://okwave.jp/qa/q5322538.html 
東レのクレアコンポは300万円。

まず基本的なCADの仕組みには、「パターン」、「グレーディング」、「マーカー」という3本のソフトウェアがあり、それぞれが120万円なので合計は360万円。マーカーマジックにはnoteというセカンドラインがあり、その価格は60万円なので、合計で300万円というのが相場のようですね。





高額なオフィス機器にはリース契約がありますが、クレアコンポのリースの価格は月額28,500円と書いてありました。ソフトウェアのサポートは月額3,600円。サポート内容は、トレーニング(受講)やオペマニュアル(説明)がつくようでして、イラストレーターのベジェ曲線に慣れている人なら、このサポートを受けるだけで使えるようになれるのかな?(※)

詳細は、東レACSに聞いてみるのが良さそうです。


▼クレアコンポ
 http://www.toray-acs.jp/products/pattern.html


※の答えですが、ACSのサイトを見る限りでは、アパレルCADは専門の学校に通わないと記述は習得出来ないようで、独学で使えるようになるのは厳しいかもしれません。



そして、この工程図を見ていると、型紙の入力・出力に関しては外注に頼んでしまうのが良いかもしれません。ただ、入出力を外注先に頼むのであれば、スキャン代・プリント代で1万円弱かかりますし、そうなれば「もうグレーディング作業も外注先に頼んでしまえ」という気持ちになってしまいそうです。

「どこまで自分たちで行い、どこからを外注さんにお願いするのか」
この考え方は現代の仕事術では大切な考え方になっていますね。




▼CADを導入するには、どう活用するのが良いか


まず、洋服が出来るまでの簡単なフローチャートを描きます。
  1. 頭の中にあるものをスケッチ
  2. パターンを型紙に引いて、デザインを起こしていく作業
  3. 型紙に合わせ布を裁断し縫い合わせて、形を確認する作業
  4. 2と3の作業が数回繰り返される
  5. 型紙を工場に送る
  6. 生地を工場に送る
  7. サンプルが仕上がる
  8. グレーディングを行う
  9. サイズ展開の型紙を工場に送る

CADを使うのは、主に「2」「4」「8」の部分。
とくに「2」「4」の作業は、手描きだと、間違った線を消して書き直す作業が何度も繰り返されるので、大変です。この作業箇所がCADであれば、手直しが幾分楽になるのだと思います。
また、「8」のグレーディング作業についても、CADでやれば数値を変えれば良いだけの作業になってくるでしょうし、「作業能率は単純化されて効率があがるのでは?」と考えてしまいます。



▼費用面を考える

ここで比較対象すべきは金額ですね。
全てを導入するには500万円は値段がキツイのは当然です。
またスペースの問題も出てきます。

ソフトの値段が300~360万円。入出力の機器がそれぞれ80万円くらいするのでしょう。それを置くスペースも必要になってきますし、都市部で一畳分の家賃は駐車場の1/4くらいだとか。このような費用の問題点を考えると、「外注に出す」のは比較的、コスパが良いのかもしれません。

では、前節「2」「4」「8」の部分(とくに「2」の型紙に起こす作業)に関して、CADを導入するのはどうでしょう。出入力は外注さんにお願いします。CADのソフトを買わずに「リース契約を申し込む」という方法をとってみます。価格にすると月額33,000円だと年間約40万円の出費になります。

手で描いたほうが安いじゃん! 
ぜんぶ外注に出せばいいじゃん!

年間40万円かかるのであれば・・・、さらに言えばソフトを使えるようになるためにスクール代を考えれば・・・。今までしていた通りに、「2」「4」の部分は手作業で頑張って、「8」のグレーディングを外注に出すことで事足りるのではないでしょうか。全ての型数を外注にお願いする金額も、「40万円+スクール代」が浮いたと考えれば、高いものではなくなるでしょう。





▼簡単にまとめます

上記のすべてを考慮してCADソフトを導入するかを考えるのであれば、今後CADを使える能力を身につけるかどうか=「向上心があるかどうか」という話になってくるのだと思います。

これはたしかにメンドクサイ話です。





▼クラウド型アパレルCADシステム「人人人」

クラウドを利用したソフトウェアサービスが登場し、どの業界でも人気のようですが、アパレル業界では「ひとと」を耳にします。

リースは月に28,500円。
「ひとと」 を利用すれば、月単位での解約も可能。

http://www.toray-acs.com/




▼いろんなCADソフト

クレアコンポ以外にCADないの?
という思いが避けられず、いくつか紹介します。
  • 東レ(クレアコンポ)
  • 旭化成(AGMS)
  • ユカ(SuperALPHA:Plus)
シェアでみると、この三社が三強のようです。


▼AGMS
http://www.agms.co.jp/ 
旭化成のファッション開発部として発足し2001年に分社化。
2010年にITホールディングスグループ傘下に。


▼ユカ・アンド・アルファ
http://yuka-alpha.com/
 SuperALPHA:Plus
http://yuka-alpha.com/?page_id=295 

▼iPM
http://www.baby-universe.co.jp/ja/apparel/ipm/
イラストレーターのプラグインCAD


▼iPMっていいんじゃない?
イラストレーターには慣れているぼくたちには、イラストレーターのプラグインで使えるのは魅力的です。アパレルCADのイラストレーター・パターン・メイキング・システム=iPMは、このスキマを狙ったソフトです。

トレーニングメニューとして短期集中講座を開催してくれてます。
http://www.baby-universe.co.jp/ja/apparel/ipm/support.html
しかし、これは東京のみの開催で、関西でもあるかどうか調べたところ見つかりませんでした(2012年10月)。

アイピーエムの開発裏話
http://www.adobe.com/jp/local/print/features/seagel/index.html 

電話やメールのサポートサービスは、年間39,800円。
http://www.seagel.com/iPM/ipmhardware/seaglmembers.html#2 



▼iPM必要システム構成
導入するならパソコンの環境はどれくらい必要?

HD空き容量 5GB以上
メモリ 2GB以上

イラレのバージョンはCS以上
mac 10.2.6以上
win XP,Vista,7





▼おまけ
パターンメーキングについて、作業を文字化してくれている文章を見つけた。
http://tamasan.com/

『ある仮説を立て、それをトワルに反映させる。そのトワルを多くの人間に着用させ、その結果を検証する。検 証した内容を論理的に分析し、分析した結論を再びトワルに反映させ、更に次のトワルで結果を検証する。この繰り返しである。パタンナーは来る日も来る日 も、この作業を繰り返さなければならないのである。この作業によってしか答えは得られないのであり、またその答えも、時代の流れと共に消え去る運命である ことを知らねばならない。すぐに消え去ってしまう刹那の答えを求めて、パタンナーは迷い、悩み、苦しむのである。パターンメーキングとはそういう仕事だ。』






▼更新2012.12
何度か記事を見ていただいているようなので更新します。
専門学生に質問してみました。

ぼく「アパレルCADって何を使ってますか?」
学生「東レかな。クレアコンポって知ってます?」
ぼく「うん、アパレル業界でシェア1位だとか」
学生「そうみたいですね」
ぼく「やっぱり東レなんだ」
学生「うちの学校では企業は東レがほとんどって言ってます」
ぼく「うん、そうみたい。ところで、iPMは知ってる?」
学生「知らないなー」
ぼく「イラストレーターみたいに自分で線引けるタイプのCADらしいけど」
学生「使いやすいんですかね。先生にも一度聞いてみます」
ぼく「ありがとう。お願いします。」

つづきはまた書きます。



▼おまけ

服飾学校で必要なモノ
最低限これは持っておくものは何ですか?
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1249839462


ボディ
50センチ方眼定規
メジャー
裁断バサミ
糸切り
アイロン
ミシン
カッター
Dカーブルーラー
カッターマット
手縫い針
シルクピン






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